一日の仕事が一段落した夕方に部下から『ちょっといいですか?』と会議室へのお誘い
今ならLINEでの連絡もあるのかもしれないですが
そして退職の意向を伝えられた経験は多くの中間管理職には経験がある事でしょう
大所帯の組織であれば一時的に欠員が出たとしても作業的に人事部に採用をしてもらえば良い
場合もあるが多くの企業は中小企業で、私の管理する組織も決して大きな組織では無く
一名でも欠けると残る社員への負担が増えてしまう規模でした。
採用に時間が掛かり過ぎてしまうと連鎖的に退職者が出る恐れもあるので
結果的に補充採用の判断基準を下げてざるをえない状況となり組織は弱くなって行きました。
そのような経験をもとに、現在の私が組織の利益効率と退職について考えるようになったかを記してみたい。
退職者を出す事のコストを意識する
退職者を採用した時に掛かったコスト
欠員を埋める為に掛かる採用コスト
PC、制服、車両などの貸与品などの返却、管理に掛かるコスト
などなど、事務負担なども含めて人が動くときには経費が掛かります
退職者が在職中に売上、利益を出してくれていた訳ですから退職に関わる経費以上の
貢献を企業にもたらしてくれていたのですが経費は掛かります。
そして掛かるものは続きます。
補充した人材の教育コストが結構重いんです
引継ぎ期間などは単純に考えて二重の経費になりますし
引継ぎ完了後に独り立ちしたとしても、優秀な社員が抜けた場合は
穴埋めには時間が掛かる場合があります。その間の費用対効果は悪くなってしまいます。
研修期間などで多少の経費圧縮ができたとしても微々たるものです。
想像以上のコストが生じます
新規採用と欠員採用の大きな違い
事業拡大に伴うような新規採用と退職による欠員募集には大きな違いがあります
業績が良好で新規の人員を採用する場合は既存の社員で通常業務がこなせている状況である事が多く
企業に合った人材をしっかりと吟味した採用活動が行えます。
採用された側も教育係の方と中長期的なスパンで仕事を覚える事ができるので
仕事内容だけでなく、企業風土も含めてじっくり覚える事ができます。
簡単に言ってしまうと、勤めやすい状況です。
退職による欠員採用の場合
既存社員の受け持っている仕事量と仕事内容によってはかなり大変な事になります
引継ぎ内容を教えてくれる社員の退職日が近い
引継ぐべき仕事内容を把握している社員が他にいない
前任がすでに退職しており、簡易的な引継ぎをしている既存社員から仕事を引き継ぐ
上記のような事が複合的に起きる場合もあると思います。
また、欠員採用の場合は既存社員への負担が増大する場合も多く早期に採用を行わなければなりません
当然ではありますが、退職者が出なければ欠員採用の必要はありません。
部下の退職が怖くて優しく接するのはダメ
部下の退職が続くと管理職は落ち込み、悩み、病んでしまいます。
部下の負担になるような指示、指導ができなくなる方も多くなるでしょう。
上からの指示に対して依頼ができない為、管理職層が部下の代わりに仕事をやってしまう。
そのような状況になるとどうなるのか?
一時的には部下から感謝されますが、組織としては末期の状態に一歩前進となります。
楽な仕事だから長く続けてくれる訳ではありません。
特に優秀な部下はその部分を見ています
優秀な部下が辞めて行く場合は会社や上司の姿勢を見ていますので
結果として退職の連鎖を打ち切る事は難しくなります。
管理職に求められている事とは
時には部下の仕事を手伝う事は決して悪い事ではありませんが
退職におびえて自分のスタンスを変える事は不安を与える事に繋がります。
どっしり構えていなくてはなりません。
部下層と同じ目線で仕事に向きあう事では無く、上司として管理職として
部下層にはできないアプローチで物事に対処しなくてはなりません。
他部署への協力要請であったり、社内の根回しであったり
採用に関しての稟議についても決裁者への直談判も部下層にはできない事でしょう
私も過去には退職の連鎖で追い込まれた時がありましたが、以前退職した方々に片っ端から
連絡を入れて助けてもらった経験があります。
根回しはしんどかったですが、窮地を脱する事ができましたし残った部下に大きな
負担をしいる事にはなりませんでした。
自分のポジションだからできる方法をとる必要があります。

退職者が出ない為に事前にできる事
心構えとして、退職者が出ない事が組織の安定に繋がり、企業に取って目指すべき事だと
肝に銘じておく事です。
その前提の基に、安心して働ける環境整備、チーム内のコミュニケーションを積極的に
取る事で不安、不満に対して丁寧に対処や説明を行う事です。
それでも退職者がはでるかもしれませんが連鎖する可能性は低くなります。
退職者が出る事を想定した準備を進めておく
余剰人員を抱えて組織運営を許されているなら考える必要はないのですが
そのような企業は少ないでしょう
ジョブローテーションに取り組んでいたとしても上っ面の仕事をなぞるだけになります
自分の仕事をすべて開示してくれる社員ばかりでもないのが現実です。
私の実践した簡単に準備を進める方法を記しておきます
この方法で一対一の相互補完では無く組織、チーム全体で欠員者の補完ができるようになりました
3日以上の指定有給を取得してもらいます
前提として休んでいる社員への連絡を禁止して、その社員も仕事の連絡を絶つように指示する
これは模擬戦なので、結果として連絡をしても良いのですが、連絡した内容を確認して最終的には
出勤している社員で対応できるようになる事が目的です
有休を取得した社員が事前にどのような準備をしたのかも把握しておく必要があります
その反復で一人の仕事をチーム全体でカバーできるようになりました。
小さなクレームは起こりましたが担当者本人がリカバリーできるので大きな問題にはなりませんでした
クライアントからすれば、クレームを入れる相手が新任担当である方が印象は悪くなります
企業の信用を落とすことにも繋がりかねない状況です。しかし
既存担当者の休暇中の事であれば担当レベルで済んでしまう事がほとんどです。
部下が休暇中に起こる全ての事を一度上司層に集めて、割り振りを行えば大きなクレームに
発展するような事態にはならないでしょう
数か月間、上記の事を淡々と実施すれば一名程度なら欠員しても通常業務で
困る事は減少します。
一時的に欠員が出ても対処できる組織の出来上がりです。

まとめ
基本的には退職者を出さない組織づくり、事業所風土を作る事を心掛ける必要があります。
それでも退職者ゼロを実現するのは正直言って難しいでしょう。
相手がある事なので仕方ない部分もありますが想定をしていなくはなりません。
管理職が大切にしなければならい事は退職者が出た時に残された社員に負担がかかる事が
ないように対処し不安、不満を起こさないようにする事です。
部下が退職する事は会社は上司層の責任と言うでしょう
その事は理解はしますが、本当はそうでは無い事を解ってくれる人は大勢います。
大丈夫です。
管理職、中間管理職が一番考えなければならない事は残って働いてくれている社員の事です
残っている社員を大切にしましょう。
その判断を誤ると退職の連鎖から抜け出せなくなってしまいます。
残った社員の事を大切にする気持ちを持っていれば、事前にできる事も増えてきます。
日頃の行動も変わってくると思います。
中間管理職は報われない事が多いですが、部下に感謝の気持ちを持って接すれば
回りまわって感謝がやってくる。と思ってやってみましょう。

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